治療成績について
2021年度の治療成績です。
毎月行っているHART合同カンファレンスでの新しい知見も活かし、卵巣機能低下症例における卵巣刺激法の工夫及PFC-FDの利用等による良質胚の獲得より、35歳以下では、胚盤胞移植1回での妊娠率は61.8%でした!また、PIEZO-ICSIの併用により、ICSIの受精率は83.6%と高く、40歳以上におきましても82%と良好な結果でした。
今後も少しでも妊娠率を向上できるよう努力したいと思います。
■ 2021年度治療成績(2021年1月〜12月)
治療別(IVF・ICSI)胚盤胞到達率
治療別(IVF・ICSI)胚盤胞到達率
一般に30%といわれる胚盤胞到達率。
当クリニックのデータは右表の通り、これを大きく上回っています。大切な受精卵が心地よく育つように、培養室自体の加湿などをはじめ、常に理想的な培養環境を整えております。
新鮮胚を用いた胚移植あたりの妊娠率
全胚凍結を希望されなかった方にC-IVF後鮮胚移植を行った結果、24周期中7例(29.2%)で妊娠を認めました。一方、ICSI後新鮮胚移植を行った結果、55周期中14例(25.5%)で妊娠を認めました。2015年の日本産科婦人科学会が発表しているデータbookでは新鮮胚移植後の妊娠率は20%前後であり、媒精方法の違いにより、C-IVF後29.2%、ICSI後25.5%と差は認めますが、いずれにおいても当院では通常いわれる妊娠率を上回る結果が得られました。双胎妊娠は、単一胚移植を遵守した結果、新鮮胚移植後には認めませんでした。
年齢層別凍結融解胚移植あたりの妊娠率 ※(≧③BB)
一般施設での体外受精成功率は、凍結胚を用いた場合でも、移植あたりの妊娠率は34.2%といわれています(日本産科婦人科学会 2013年7月)。当クリニックでは、胎盤胞培養後、凍結胚が可能であった場合、34歳以下で61.8%、35〜39歳55.8%、40歳以上でも47.4%と高い妊娠率が得られております。特に難治性症例(反復不成功症例)の場合、常に自然での妊娠機序を探究し、新規培養技術を含め、最先端生殖医療技術を習得した上で、患者さん固有にカスタマイズする必要があります。どの年齢の方でも、良好胎盤胞が得られれば、ガラス化保存を行います。本年度、融解胚移植により双胎妊娠を6例、子宮外妊娠を1例認めました。一方、出血・感染などの合併症は現在のところ1例も認めておりません。
※融解胚移植あたりの胎嚢妊娠率(%)胚はガードナー分類の③BB以上とする